Seasoning+

人生にスパイスを。

標本

14歳上の男と知り合ったのは去年の夏のことだ。

偶然に母校を同じくした私たちは、7月に初めて顔を合わせることになる。

危ない物に指先で触れて、

「あぁ、痛い」

と顔を顰めながら絆創膏を貼る予定だったのだけれど、

男が隠し持っていた刃は私の腹部を貫き、内臓を撒き散らすハメになった。

致命傷だ。

少年が無邪気に収集した蝶の標本さながらに、私は今でも捕らわれている。

食事だけのデートや甘い言葉は防腐剤。

私が腐ってしまわないように、いつまでも自分のガラスケースに手足を広げて無防備に眠っていてほしいのだろう。

けれど、捕らわれた蝶はガラスケース越しに、いつも羽ばたくタイミングをうかがっている。

 

私は 蛾 だけれども…。