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Seasoning+

人生にスパイスを。

ブレンドコーヒー

昨晩、元彼と電話をした。

彼との最後は、ちょっとしたすれ違いでお互いが酷く後悔をした、後ろ髪引かれる別れだった。

その後、私に恋人が出来たと勘違いした彼は、容姿が私によく似た彼女をつくった。

穏やかで控えめな彼女の名前は「ゆき」といって、私は冬が嫌いになった。


一方、恋人のできない私は彼との別れを引きずり、地を這いずりながら胸の穴を埋めるように違う男との逢瀬を繰り返していた。


そんなとき、彼女のいる彼から

「お前のことも好きだ」

と告げられ、私は酷く混乱した。

それでも良いと飛び込んだ沼の中で、彼女を大切にするあまり、手を触れることが出来ないという彼の心情に私は傷つけられた。

彼女を汚せない代わりに、私というおもちゃに手垢をつけて欲を満たしているのではないかと、核心に触れた瞬間に何度も地に叩きつけられた。


それでも、昨晩の電話で彼は

「お前のことが好きだ」

と言った。

信じても良いのかと弱々しく聞くと彼は、もちろんと言った。


今日の待ち合わせは9時20分。

彼からの連絡はなく、現在は10時。

逃げるように入った喫茶店でブレンドコーヒーとスコーンを頼んだ。

寒い窓際でコーヒーを飲みながら

歳上の男が言っていたアメリカンとブレンドの違いを思い出そうとしたけれど、覚えていなかった。

ブレンドコーヒーは苦かった。

次はアメリカンにしようと思った。